2013年6月1日土曜日

モハメド・カブリー(2005)まとめ 序文

 現代モロッコを代表する中世史研究者モハメド・カブリーが2005年発表した、モロッコのマフザン(中央政府)の起源に関する論考を少しずつまとめていきます。というのも、氏の叙述はフランス語であろうとアラビア語であろうと極めて難解で、この決して長くない論文でも一息に読み切ってまとめることが、私にはどうにも困難だからなのですが。
 最初は、1ページほどの序文をまとめた、というよりは様々な留保の類を削ってみた、といったところです。まずこの試論の目的が宣言されます。すなわち:
マフザンについての近代の個々の国家の枠組みの中で行われてきた議論を、より古い時代にさかのぼり、かつマグリブ全域を考察対象に入れたうえで、これまでの研究成果を再検討し、その起源を探究すること
ただ、「意味論的考古学」「プラットフォーム」「指示対象-サポート」とは何ぞや?これ以降の議論でどれだけ明確になることか、何とも不安です。

Kably, Mohamed. "A propos du makhzen des origines : cheminement fondateur et contour cérémonial". The Maghreb Review 30.1, 2005: 2-23.

(序文 pp. 2-3)
 イスラームの政治制度は、全体的な発展の範囲では、その本質的な表象と構造を通して、信任(investi)されている。その歴史叙述と「実践」を考慮すると、この政治制度は多様な資料体(相互の矛盾、特定の文脈への参照)に依拠しているようにみえる。そしていくつかの試みは、地域的な固有性に注意を払いながらも、その形成の過程を総体として把握することには、すでに成功している。モロッコにおける政治制度の形成は、多くの互いに交差しあう研究の対象となり、豊かな成果をもたらしている。

この試論の目的
=より古い構造化するデータを解読しながら、これまでの豊富な研究の貢献を確認すること

最初に検討する研究の範囲を、時間・空間の両面で拡大するのが有益
時間…「近代=moderne」以前にさかのぼる
空間…領土的区分を超えてマグリブ全域に及ぶ
(大抵の場合、近代のみがモロッコの政治制度に関する最近の解釈を支持すると考えられている)

  • 起源へ(aux origines=複数の起源へ)とさかのぼること
  • この数世紀に現れ出た形態からだけでなく、プラットフォーム(plate-forme)の表象と記号の蓋然的な意味論的考古学(archéologie sémantique probable)からも読解が行われること(プラットフォームとは?)

多様な資料(sources)に対して、資料体(corpus)は限定されている。資料体を膨らませるのは、緩慢で段階的な現実の歩みであり、それがその(資料体の?)指示対象-サポート(référent-support)を構成する。この指示対象を特定するためには、本質的な構造化するデータで満足すべきだろう。

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